第 1 章 / 全 6 章
洞窟の奥へ
あなたが目にしているのは、ある洞窟の光景、そしてレオナルドによる最初期の偉大なる実験の一つです。ミラノの信心会の祭壇画として描かれた本作は、二つあるヴァージョンのうちの初期のもので、注文主の教会ではなく、最終的にパリへと渡った作品です。聖母を頂点に、幼い洗礼者ヨハネ、幼子キリスト、そして跪く天使という四人の人物が、柔らかなピラミッド型の構図を成しています。ここには、聖性を誇示するような金彩も、玉座も、光輪もありません。その代わりにレオナルドは、輪郭を影の中へと溶け込ませ、潤いを帯びた薄明かりの中に信仰の神秘を託したのです。